予防接種の目的は病気にかからなくすることではありません。
不運にも病気にかかった際にあらかじめ免疫を付けて、重症化を防ぐことが目的です。
【インフルエンザワクチン】
インフルエンザは発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強く、のどの痛み、咳、鼻汁などの、かぜ症状もみられます。更に、気管支炎、肺炎を併発し、重症化することがあります。例年12~3月に流行します。
インフルエンザは通常の風邪と比べると症状が重く、抵抗力の弱い高齢者や乳幼児では肺炎を併発して重症化する場合もあり、時には死に至ってしまうこともあります。
インフルエンザはウイルスに感染してから症状が出るまでの期間が短く、感染力も強いことが特徴で、例年11月下旬頃から3月上旬頃まで流行します。発症や重症化を予防することが期待できます。効果が現れるまでに約2週間かかり、約5か月間その効果が持続するとされています。このため、流行が始まる前に接種することをおすすめします。
インフルエンザワクチンはファイザーやモデルナの新型コロナウイルスワクチンとは種類が違い、作用機序も違います。
インフルエンザワクチンはタンパク質を皮下に投与し、免疫を付けます。一方、新型コロナウイルスワクチン(ファイザー、モデルナ)はmRNA(メッセンジャーRNA)を投与し、免疫を付けます。インフルエンザワクチンは長い歴史があり副作用なども広く検証されており、安全性が高いワクチンです。
インフルエンザワクチンの効果は2006年の米国予防接種諮問員会で65歳以下の成人に対する接種効果を検討した結果、欠勤:18-45%減少させ、職場での能率低下:18-22%減少させたことが報告されております。
(引用:厚生労働省科学研究「インフルエンザワクチン需要予測に関する研究」2012年)
◇新型コロナワクチンとの接種間隔
新型コロナワクチンとインフルエンザワクチン以外のワクチンは、互いに、片方のワクチンを受けてから2週間以上(生ワクチンの場合は4週間以上)空ければ接種できます。インフルエンザワクチンのみ同時接種することができます。
◇副反応
接種後に、注射部位の腫れ、痛み、発熱等の副反応がみられることがありますが、通常2~3日程度で消失します。高熱や体調の変化、その他の心配な症状がある場合は、医療機関を受診してください。
◇接種費用
3,960円(税込)
集団予防接種をご検討の団体は【こちらへ】。
当院は東振協の補助券が利用できます。受付時にお伝えください。
【帯状疱疹ワクチン】
帯状疱疹は主に加齢に伴う細胞性免疫の低下と水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化により発症します。¹
2001年から2005年に実施された国立感染症研究所による調査結果では、50歳以上のVZV抗体保有率はほぼ100%であり、50歳以上のだれもが帯状疱疹を発症する可能性があります。¹
そして、50歳以上の19.7%が帯状疱疹後神経痛(PHN)へ移行するといわれています。²
帯状疱疹後神経痛はとてもつらい症状を呈する方もおられて、生活に支障が出る方もいらっしゃいます。
症状が顔面周囲にでたりすると、いわゆる「おいわさん」のようなお顔になられてしまう方もいらっしゃいます。
帯状疱疹の発症予防にワクチン接種が効果的です。ワクチンにも現在は2種類あり、1つは従来通りの弱毒生ワクチン(ビケン)、もう一つは最近新しく出た不活化ワクチンのシングリックスになります。
水痘ワクチンと帯状疱疹ワクチンの比較表 | ||
乾燥弱毒性水痘ワクチン (生ワクチン) | シングリックス (不活化ワクチン) | |
適用年齢 | 50歳以上 | 50歳以上 |
帯状疱疹発生 抑制効果 | 51.3%¹ | 50歳以上 97.2%² 70歳以上 89.8%² |
帯状疱疹後神経痛 抑制効果 | 66.5%¹ | 50歳以上 100%³ 70歳以上 85.5%³ |
接種方法/回数 | 皮下注射/1回 | 筋肉注射2回 |
接種間隔 | – | 1回目の接種から2か月後に2回目の接種を行う。 ※2か月を超えたら6か月後までに2回目の接種を行う。 |
副反応 概ね3日~7日で消失 | 接種部位の痛み、発赤腫張 | 接種部位の痛み、腫張、発赤、筋肉痛、倦怠感、頭痛 |
長所・短所 | 【長所】 ・費用が安い ・接種回数が1回 【短所】 ・予防効果が落ちる ・免疫低下している方には接種できない | 【長所】 ・予防効果が高い ・免疫低下している方にも接種できる 【短所】 ・費用が高い ・接種回数が2回 ・副反応が比較的強 |
費用 | 7,000円(税込) | 1回 24,000円(税込) |
新しく出たシングリックスは2回投与します。1回目接種から2か月以上あけて(6か月以内)計2回の接種が必要ですが、従来の水痘ワクチンより高い予防効果が証明されています。接種後は10年以上の予防効果が証明されています。以前に水痘ワクチンを接種した方でも接種が行えます。また水痘ワクチンでは接種不可である免疫抑制剤内服中の方でも接種可能です。
接種後30分は院内で体調観察をさせていただきますので、お時間に余裕をもってご予約ください。
接種ご希望の方はお電話でご予約の上ご来院下さい。
≪文献≫
- Oxman MN,et al. N Engl J Med.2005;352(22):2271-2284.
- Lal H. et al.: N Engl J Med.372(22),2087-2096,2015
- Cunningham AL. et a.:N Engl J Med.375(11),1019-1032,2016
【その他の予防接種(予約制)】
- インフルエンザワクチン 3,960円
- B型肝炎(ビームゲン) 4,500円
- ポリオ(イモバックスポリオ皮下注) 7,000円
- おたふくかぜ生ワクチン(ムンプス) 4,500円
- 水痘帯状疱疹ウイルス(シングレックス) 24,000円
- 乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン) 7,000円
- 髄膜炎 20,000円
- MR(麻しん風疹ワクチン) 7,500円
- 肺炎球菌ワクチン 7,000円
- シルガード9/9価HPVワクチン 子宮頸がんワクチン 1回 29,000円
- ガーダシル4/4価HPVワクチン 子宮頸がんワクチン 1回 19,000円
*シルガード9価、ガーダシル4価は、3回接種が必要です。 *当院の扱っているワクチンはすべて国内製造のものになります。 *ここにのっていないワクチンが必要な場合はご相談ください。 また、ワクチン接種は事前予約制とさせていただいておりますので、ご連絡ください。 *区の補助券がある場合はご持参ください。 *海外留学用のワクチンも対応しております。 *HPVワクチンは世田谷区の接種券が当院でもご利用になれます。