脳の専門医が診察します。
もの忘れ・認知症外来はMRI検査や血液検査を行いながら、脳の器質的疾患を精査しながら行います。
認知症と一言で言っても原因は多岐にわたります。そのためにも専門的な神経学的診察・検査や血液検査、MRI検査による脳の精密検査(保険適応)を行いながら診断していく必要があるのです。
症状
≪認知症の中核症状:脳細胞の障害により生じる症状≫
- 記憶障害:直前に起きたことも忘れる記憶障害
- 問題解決能力低下:筋道を立てた思考ができなくなる
- 判断力能力障害:予想外のことに対処できなくなる
- 実行機能障害:計画的にものごとを実行できなくなる
- 見当識障害:いつ・どこがわからなくなる見当識障害
- 高次機能障害
- 失行:運動可能であるにもかかわらず合目的な運動ができない状態。簡単にいうと失行は麻痺などがないが、「○×ができない」という状態。
例)物品を使用することができない(観念失行)服を着ることができない(着衣失行)形が作ることができない(構成失行)。 - 失認:五感覚のうち一つを介して対象物を認知することができないこと。病態失認や半側空間無視なども含まれる。
例)道具を見ても使い道がわからなくなる。 - 失語:言いたいことが言えなくなる、ものの名前がわからなくなる。
- 病識の欠如(自己モニタリングの障害)。
≪Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia;BPSD≫
BPSDは中核症状の進行をによって二次的に生じる精神症状・行動障害のことを言います。
- 精神症状:抑うつ、不安、幻覚、妄想、睡眠障害など
- 行動障害:暴力・暴言など攻撃的行動、叫声、拒絶、徘徊(はいかい)、不潔行為、異食など
診断
- 問診
(ご家族も同伴くださると診断に非常に助かります。いつから、どのような症状かを観察・整理していただけると助かります。) - 知能検査(簡単な認知機能検査)
- 血液検査
- MRI画像検査
(MRIにて脳血管障害や脳の萎縮の程度やそのほかの疾患の有無などを詳しく検査するとともに、早期アルツハイマー型認知症診断支援システムを使用した撮影を行います)
治療
医療はすべからく、すべてにおいて診断があっての治療が原則になります。現在行われている治療法は大きく以下のように分類されます。
- 薬物療法(認知症のタイプによって異なります。)注1
- 非薬物療法
- 外科的治療 :正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫、脳腫瘍などにより認知症になっている場合は外科的治療にて治療が可能です。これらの診断には頭部MRI検査(保険診療)が必要です。
注1)現在ある抗認知症薬による薬物治療が行える認知症はアルツハイマー型認知症とピック病のみになります。逆に言うとそれ以外の認知症では効果が実証されていません。現在ある治療薬が効く認知症かどうかを診断することが重要です。診断するには脳MRIはもちろん、そのほか専門医・サポーター医といった専門知識をもつ医師による診断が必要です。